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Izanagi's Blog

七人もの人間に追われたのである

七人もの人間に追われたのである。女人は直ぐに追っ手に気付き、走りながら後ろを振り返った。タンニル配下の監視員達はモスカ夫人の似顔絵を見て頭に叩き込んでいる。振り返ったその顔はネッカチーフに覆われ、煤でも塗っているのか汚れてはいたが輪郭、鼻梁、そして特にその眼差し、似顔絵の主に良く似ていた。(さてこそっ。)と追跡者達は捕縛命令の出ているモスカ夫人に相違ないと思い込んだ。必死に逃げようと斜面になった林を駆け上っているが、明らかに女の弱足だ。造作も無く捕らえられる、と三方から迫ろうとした七人を木の枝を掴んで振り返った女人は、「ええいっ、寄るな下郎共っ。」見下ろす形でと金切り声を上げた。 その拍子に足を滑らしたものであろうか、忽然とその姿が見上げていた監視員の視界から消えた。「うわあああ。」目の前に、いや頭上斜め高みに居たはずの女人の悲鳴のみが尾を引いた。駆け上がると、女人が立っていた地面の向こう側は急峻な坂になっていて、さっきまで目にしていた体というか物体が林立する木々の隙間、眼下遠く転がり落ちてゆくのが見えた。更にその遙か下には川が流れているのも見える。「追うぞ。お前は班長に知らせろ。international school list in hong kong 待て、その前に、それを拾っておけ。」 追跡者の一人が周りの仲間を見回しながら、言葉の途中で気付いたのか少し離れた地面を指差した。そこにはかの女人が足を滑らした拍子に、思わず放り出してしまったらしい手提げ鞄が落ちていた。タンニル配下の監視員達にはモスカ夫人捕縛の厳命が下されいる。六人はもう後をも見ずに転げ落ちて行った女人を追って坂を駆け下り出した。監視員達が荷馬車の御者を咎めた場所から二キロほど離れたところで、さっきの御者が馬を止めて、馬上辺りを窺っていた。流石に追って来る者は居ないようである。二十代後半に見える。兵士崩れ風の衣服でボルマンスクの駐屯地に居れば、特に目立つ事も無さそうな男であるが、風采はそれほども悪くはない。中肉中背よりは少し大きめの体躯であろうか。ある程度武術を磨いたと推測される身のこなし、目配りが見られる。馬上の姿も様になって、昨日今日馬に乗った者ではない雰囲気がありありである。「これで金貨五十枚とは、随分気前の良い女だったな。色っぽい上に腕も相当立ちそうな珍しい女だ。後はゲッソリナ王宮行って、ハンベエって奴を頼れって言ってたが・・・・・・。このまま何処かにふけても良いんだが、何か面白そうだよな。」男は、小声で独り言を言った。。「イザベラって名を出せば、一発で王女軍の総司令官のハンベエって奴が取り立ててくれるらしい。行ってみるか。」独り言を続けた後、その男は馬を走らせ始めた。ゲッソリナに向かうらしい。 数日前、『キチン亭』にいるハンベエは鴉のクーちゃんを介してのイザベラとの秘密通信で、ある一人の人物を紹介されていた。ボルマンスクに何度も潜入している間に眼を着けていたらしい。一匹狼で、人と組む事を好まず、又あまり他人を信用しないイザベラには珍しい事であるが、今回の謀略工作を全て一人でこなすのは流石のイザベラでも困難なようだ。 

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