そんな近藤は初めて見たため、目を見開いた。
だが、近藤もそんな反応に気付いて、直ぐ様笑顔になった。
「まぁ、今回は惨敗だった!だけど、次はこれを踏まえて勝てばいい」
あれが素なのだろうが、今までトップとしていつも笑顔で自信に満ち溢れた大将を繕ってきた。
それも土方が、彼も隣で繕っていてくれたからできたこと。
今はそんなことは言っていられない。
これ以上隊士の指揮を下げるわけにはいかないのだ。
「そのとおりだ」
「俺らはまだまだ戦えるぜ」
永倉と原田が言った。
彼らも辛いはずなのだが、必死に耐える。
ここで自分達が折れたら本当に根っこまで折れちまう。【低成本生髮?】 什麼是生髮精油?有用嗎?
そんな気がした。
ガラッ
いきなり襖が開いた。
「こ…近藤さん!」
土方だ。息を荒くしている。
単独で走り回った土方は、近藤達の居場所を知らなかった。
だから探し回ったのだろう。
歳…。俺は歳に謝らなくちゃいけねぇ…。
新撰組のために尽くして、ボロボロになって帰ってきた土方を見ると、胸が打たれた。
「す「すまねぇ!!」
「と…歳?」
見ると、土方は頭を下げている。
近藤が口を開いたと同時に頭を下げていた。
「この負けは俺のせいだ」
近藤達が退避してからも、まだ彼らが戦っていると信じきったまま土方は駆けた。
結局、宛は見つからなかった。
どこも拒否してきたのだ。
とうとう、江戸城でも拒否されたぐらいだ。
もうやる気がないと言っても過言ではない幕軍の中で、新撰組の異常なまでの忠誠心は正直重くなってきていた。
慶喜からすると、穏便にことを済ませたかったのかも知れないが、彼らは違う。
そんな彼らを戦線から離脱させようとして、今回の戦を任せたのだろう。
つまり、幕府は鼻っから新撰組の勝ちは期待していなかった。というより、望んでいなかった。
「…………」
なんとなくその意図に気づいた土方は、ギリリと歯ぎしりした。
そもそもおかしかったのだ。今まで、新撰組をメインに戦を任せたことなんてなかったのに、かなりの軍事費をだし、砲まで与えた。
うまい話になりすぎていたのだ。
「すまない」
つまり、土方は援軍を一軍たりとも呼べなかった。
松平や佐川に援軍の要請をすればよかったのだが、何故か彼らに会うことはできなかった。
おそらくそれも何かと慶喜が手を回したのではないかと思う。
土方は援軍を呼べなかった自分に責任があると思っている。
「歳が謝ることはない」
「そうだ。土方さんのせいじゃねぇよ」
原田は頷いた。
「そういや」
土方は辺りを見回した。
「やけに少なかねぇか?」
その通りで、近藤は今、再び右肩の傷が疼きだしたから病院にいる。
実はここにくるまでの途中で甲陽鎮撫隊は解散しているのだ。
永倉、原田も先程ここにたどり着いたところだ。
彼らにはまだまだ戦う意志があって、再挙の話を持ちかけにきたのだ。
「…………」
土方は無言で美海、沖田を見た。
美海の顔は見えないのだが、沖田はぼんやりとしていて、目には覇気がない。
一体、甲州で何があったんだ?
まさかそんなに惨敗したとは土方は知らない。
なんだか皆がバラバラになりだした。
「歳……。解散したんだ。だから、斉藤くんも今はここにはいない」
「解散……。そっか…」
土方は呟いた。
もう新撰組という組織さえない。個人個人に行動しているのだろう。
土方はなんとなくチラリと永倉、原田を見た。
二人ともいつになく考え込んでいる。
眉間に皺を寄せ、喉元に言葉をつまらせているように見えた。
「近藤さん…」
ふいに永倉が口を開いた。
「なんだ?」
「これからのことは何か決めているか?」
「いや」
永倉は原田を見て頷きあうと、意を決したように話し出した。
「実は俺の知り合いで神道無念流の道場を持っている直参がいる」
「ふむ」