いながらも、光秀はねだられるがままを改めた。
それを聞いて満足そうにく帰蝶の前で、光秀は畳に両のをつき、再び頭を下げた。せながら。帰蝶様におかれましては、織田家のご嫡男・信長殿とのご縁組の、心よりお喜びを申し上げます」
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「え、さぞやお心の波立つ日々をお過ごしの事とごつかまつりまする。
また家中では、殿と兄上様との間でもいかばかりかと…」
光秀の言葉に、帰蝶の整った眉がんだ。
「内紛とは、いったい何の話でございますか?」
「ですから殿と様の──」
言いかけて光秀はハッとなる。
「もしや、ご存じではなかったのですか !?」
帰蝶が瞬時に首を振ると、これはしたりと光秀は口をつぐんだ。
しかし耳に入れてしまった以上、帰蝶も聞き捨てる事は出来なかった。
「光秀殿…申して下さいませ。父上様と義龍の兄上との間で内紛とは、いったいどういう意味なのです !?」
「……」
「光秀殿っ」
先ほど “ 帰蝶 ” と名で呼んでくれと言われたのとはまた違ういが、光秀の心の中に広がっていた。
しかし帰蝶の双眼はく光り続けている。
幼い頃から帰蝶を見知っている光秀には、こういう時の彼女ののゆく説明をするまでは、いつまでも食い下がってくるだろう。
うっかり口をらせてしまった自責もあってか、光秀はやがて、唇をくようにして語り始めた。
「れながら、義龍様におかれましては──」
帰蝶の出立を翌日に控えた、二月二十一日の夜。
稲葉山城の大広間では「いの式」なる、帰蝶と親族たちとの別れの席がけられていた。
畳敷きの上段に道三。やや離れた位置に小見の方がえている。
総床板の下段の端々には、んで、姫君の別れの挨拶を暖かく見守っていた。
帰蝶は下段のに控え、上段の道三と向かい合うような形で一礼の姿勢を取っている。
に口上を述べた。
「父上様──。長い間、まことにお世話になりました。ここまで育てていただいた御恩、帰蝶は決して忘れませぬ」
「尾張へ参っても、達者でな」
「はい」を向けた。
「母上様にも、まことにお世話になりました。いく久しゅう、お健やかに」
「姫も。どうぞ…いつまでも、健やかにのう」
「…母上様」
小見の方の瞳にうっすら涙が浮かんでいるのを見て、帰蝶の胸もジンと熱くなった。
思わず涙が出そうになるのを必死にいた。
道三と目と目で互いの意思を確認し合うと、帰蝶は次に小見の方へとしていた短刀に触れながら、力強くえていると、侍女の三保野と笠松が、を父娘の間に持って来た。
道三は、それで二度ほど帰蝶と酒を酌み交わすと
「ほんに良き娘に育った。うつけにくれてやるのが実にしい」
余裕めいた笑みを覗かせつつ、として呟いた。
この御暇乞いの式が済むと、座は宴席となった。
集まった親類縁者たちにも酒や料理が振る舞われて、皆々で姫君の輿入れをことほぐのだ。
始めは落ち着いた雰囲気だった宴席も、時間が経つにつれて賑やかさを増してゆき、
酔った男たちがら遊興芸人のように、扇や衣を手にして踊り出す一幕もあり、は大いに盛り上がりを見せていた。
帰蝶も上段からその様子を眺めていたが、時折 下段に控える義龍に目を向けては、複雑そうに口元を歪めていた。
六尺五寸(約197㎝)という現代においても高身長だった義龍は、
元より目立つ存在ではあったが、無論 今の帰蝶の感心はそこではなかった。
『 義龍様におかれましては、父上・道三様に対し