は何方に」
「へえ。廊下を出て右手の突き当たりどす」
礼を言うと、桜花はそっと廊下へ出る。薄暗くも、吊るされた赤い提灯が怪しい雰囲気を醸し出していた。
桜花は廊下を進むと、botox 優惠 外に出られる場所は無いかと左右を見る。
するとまた禿が歩いていたため、声を掛けた。
「あの…。少し酔ってしまって。風に当たれるところは無いですか」
「へえ。そこな階段降りはったら御庭どす。臥龍松っちゅう松が見事どすえ」
桜花は言われるがままに階段を降りて行く。すると、見事な庭園がそこにあった。
その松は龍が登るように見えることから臥龍松と呼ばれている縁起物らしい。
ぼんやりとしか見えないのが残念だが、それはそれでがあった。
縁側に腰をかけ、夏にしては涼しめの風に目を細めていると、ガシャンと食器の割れることが聞こえた。それに驚き、振り返ると近くの座敷から声がすることに気付く。
「…久坂殿は先の戦で死んだ。見事な死に様じゃったという」
「…んで、何でやのッ。うち…、うち待っとったのに…。あの人の、やや子が産まれたのに…ッ!」
久坂と言うのはあの久坂なのだろう。子どもが産まれたという驚きの情報に桜花は驚愕した。
「…ほんに殿方は勝手や。好いとる、一緒になりたい…なんて甘い言葉を掛けて期待させて…ッ。自分だけ本懐を遂げて…!」
心の叫びに近いそれは桜花の胸に重しを乗せる。
女性の悲痛な泣き声が鼓膜に響いた。
そこへいつの間にか遊女が桜花の近くに立っていた。腰を屈め、桜花に向かって声を掛ける。
「もし、そこな新撰組の殿方…。御気分悪うおすやろか…」
ふわりと甘い匂いと共に凛とした声が上方から聞こえ、桜花は振り向いた。
「え、あっ…!だ、大丈夫ですッ。少し酔ってしまって…、風に当たりたいなと…」
「そうどしたか。先生方が心配されてはりましたえ」
その遊女は山南の横にいた人である。目元に泣きぼくろ、垂れ目だが涼し気で知的そうな美人。それが彼女の印象だった。
心配させてしまったかと桜花は立ち上がる。その瞬間だった。
「…泣くのは何時の時代も女子どす。待つのも、置いていかれるのも、があった。
縁側に腰をかけ、夏にしては涼しめの風に目を細めていると、ガシャンと食器の割れることが聞こえた。それに驚き、振り返ると近くの座敷から声がすることに気付く。
「…久坂殿は先の戦で死んだ。見事な死に様じゃったという」
「…んで、何でやのッ。うち…、うち待っとったのに…。あの人の、やや子が産まれたのに…ッ!」
久坂と言うのはあの久坂なのだろう。子どもが産まれたという驚きの情報に桜花は驚愕した。
「…ほんに殿方は勝手や。好いとる、一緒になりたい…なんて甘い言葉を掛けて期待させて…ッ。自分だけ本懐を遂げて…!」
心の叫びに近いそれは桜花の胸に重しを乗せる。
女性の悲痛な泣き声が鼓膜に響いた。
そこへいつの間にか遊女が桜花の近くに立っていた。腰を屈め、桜花に向かって声を掛ける。
「もし、そこな新撰組の殿方…。御気分悪うおすやろか…」
ふわりと甘い匂いと共に凛とした声が上方から聞こえ、桜花は振り向いた。
「え、あっ…!だ、大丈夫ですッ。少し酔ってしまって…、風に当たりたいなと…」
「そうどしたか。先生方が心配されてはりましたえ」
その遊女は山南の横にいた人である。目元に泣きぼくろ、垂れ目だが涼し気で知的そうな美人。それが彼女の印象だった。
心配させてしまったかと桜花は立ち上がる。その瞬間だった。
「…泣くのは何時の時代も女子どす。待つのも、置いていかれるのも、言います。山南先生には、ようしてもろてます。よろしゅうお頼申します」
そうして部屋に戻ると、先程とは席の配置が変わっていた。
三味線の音に合わせて、太夫が舞を披露している。